2022年3月10日
京丹後市長 中山泰 様
申し入れ書
京丹後市は住民の「安全・安心」を守れ
東アジアの軍事緊張を拡大する米軍Xバンドレーダー基地の撤去を
11月8日に京丹後市網野町で起こった米軍属による人身事故への対応は、米軍・近畿中部防衛局の隠ぺい体質、住民軽視の態度をあらためて示した。同時に、京丹後市の対応もきわめて問題のあるものであった。米軍関係車両が歩行者と接触したという情報に接していたにもかかわらず、京丹後市は「警備な物損事故」という防衛局からの報告を確認するだけで、長期間独自の積極的な対応を行ってこなかった。それは住民の「安全・安心」を守るという地方自治体の責務を放棄するものであり、私たちはあらためて強く抗議する。
地域住民の要求にもかかわらず、米軍関係者による交通事故の公表のあり方はこれまでも不十分なものであった。防衛局は米軍の報告をただ聞き取り、京丹後市も自ら件所することなく、それを受け取るだけである。そうした無責任な在り方が今回のような事態を引き起こし、助長している。私たちはあらためて、米軍関係者による交通事故のすみやかで全面的な開示を要求する。また、京丹後市と基地対策室が、米軍・防衛局ではなく、住民にこそ寄り添い、その「安全・安心」を守るために真剣に行動することを求める。さらに、不断に現れる米軍・防衛局の住民軽視の態度の背景にある現在の日米地位協定の一刻も早い抜本改正の実現に向けて、京丹後市が積極的に行動することを要求する。
周知のように、日本政府・岸田政権は昨年12月にいわゆる安保関連3文書を閣議決定した。それは、日米安保体制を飛躍的な強化させ、自衛隊の敵基地攻撃能力の保有とそれを前提とした展開体制の構築、戦場に見立てた沖縄の島々での自衛隊部隊の増強、5年間で43兆円という防衛費の大幅増額など、戦争体制づくりを一挙におし進めようとするものである。それは東アジアの軍事緊張を拡大するものであり、京丹後の米軍Xバンドレーダー基地のさらなる強化をもたらすものである。私たちは東アジアの平和実現を求める立場から、東アジアの軍事緊張を拡大する米軍Xバンドレーダー基地の撤去をあらためて要求する。
また、日米安保体制の飛躍的な強化、岸田政権の戦争体制づくりが進むなかで、京丹後の米軍Xバンドレーダー基地周辺も土地利用規制法による「特別注視区域」に指定されようとしている。それは、周辺地域の住民や基地問題に取り組む人々を監視の対象としつつ、国の「安全保障」がすべてに優先する社会をつくりだそうとする動きの一環である。この土地利用規制法はまた、政令や政府の決定のみで基本的人権を制限しうるという憲法違反の法律であり、さらに、国が地方公共団体に対してその保有する個人情報の提供を要求するなど、地方自治の本旨とも相容れないものである。それゆえ私たちは、京丹後市がこの法律の廃止を求めるとともに、住民の権利が不当に制約されないようその運用を注視していくことを要求する。
その他にも、基地周辺の住民の被害は続いている。レーダーを動かす発電機が交換された後も騒音被害は続いている。発電機の夜間稼働の中止という周辺住民の切実な要求を実現するために、京丹後市はより積極的に行動すべきだ。また、基地からの排水による海水汚染の可能性についても、定期的・継続的な水質調査の実施とその結果の公表を引き続き米軍・防衛局に働きかけていく必要がある。京丹後市は米軍の動向を厳しく監視し、住民の「安全・安心」を守るために行動すべきである。
さらに、PFAS(有機フッ素化合物)の環境や人体への影響の問題がある。沖縄や米軍基地のみならず、全国の自衛隊基地内でも基準値を超えるPFASが検出されている。自衛隊経ヶ岬分屯基地内においてもかつてPFASの一種であるPFOSを含む泡消火剤が保管されていたことが明らかになっている。それは処分されたのか、処分済みとしたらいつどのような方法で処分されたのか、現在はどのような消火剤を使っているのかなどを把握する必要がある。米軍Xバンドレーダー基地については、さらにその実態がはっきりしていない。どのような成分を含む消火剤を保管しているのかなどを具体的に明らかにさせなければならない。また、米軍基地に由来する深刻な環境汚染は日本のみならず様々な国々で問題となっており、京丹後市は人々の命と健康、環境を守る観点からも、米軍基地をめぐる状況を厳しく調査・監視していかねばならない。
上記を踏まえ、あらためて以下の点を申し入れる。
一、住民の「安全・安心」を軽視する米軍・防衛省の態度をあらためさせ、米軍関係者の交通事故情報について、米軍・防衛省に対して全面開示を要求し、より十分なものにすること。
一、日米地位協定の抜本改正に向けて、京丹後市として具体的・積極的に行動すること。
一、土地利用規制法の廃止を求めると同時に、地域住民の人権が侵害されることがないよう地方自治体としてその運用を慎重に監視していくこと。
一、発電機の夜間稼働の中止など、地域住民の「安全・安心」を脅かす事態に対して、これをとめるために京丹後市としてさらに強力に行動すること。また、基地からの排水の問題など地域住民の不安・懸念に真摯に対応し、定期的・継続的な調査とその結果の公表を、米軍・防衛局に対して強く働きかけていくこと。
一、米軍・防衛省に対して、米軍Xバンドレーダー基地および自衛隊経ヶ岬分屯基地におけるPFASを含む泡消火剤の保管の有無について、経過を含めてその実態を具体的に明らかにさせること。また、各地での米軍基地による深刻な環境汚染の現実に鑑み、米軍Xバンドレーダー基地に関して京丹後市としてその状況を調査し、必要な対策を実施すること。
一、東アジアの軍事緊張を拡大する米軍Xバンドレーダー基地の受け入れを撤回すること。
米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会
共同代表 大湾宗則 白井美喜子 瀧川順朗
連絡先 京都市上京区四番町121-5 大湾方 TEL/FAX 075-467-4437
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